キム ジウン初訪日コンサートのプレイベント

【寄稿】 江南春琴行 代表 村田順一


 初めまして。江南春琴行の村田順一と申します。  小店“江南春琴行”は中国伝統音楽、戯曲資料の専門店として2005年4月に創業し今年で十周年を迎えることが出来ました。これも皆様のご愛顧とご支援の賜物と深く感謝を申し上げる次第です。
 この十周年を記念して何かイベントを企画したいと思っておりましたものの、私が「専門」としております「昆曲」も「江南絲竹」も、二胡が目立つかといえばそうでもなく、小店をご愛顧いただいている二胡愛好家の皆様に楽しんで頂くには如何したものか、と考えあぐねていた時に、偶然にもソウルの友人より「キム ジウンさんを紹介したい」との連絡がありました。
 私はヘグムという楽器や、韓国音楽の雰囲気などについては浅薄な知識しか持ち合わせていなかったのですが、「二胡」と「ヘグム」という原型を同じくしながら現在は「似て非なる」、ましてや中国と韓国を代表する拉弦楽器を両方操ることの出来る演奏家が存在するということに驚きと魅力を感じ、ソウルに赴き彼女に会いました。そして演奏技術はもちろん、作曲やプロデュース活動など、その音楽能力とプロ意識の高さを確信し、十周年記念として日本の皆様に彼女を紹介するコンサートを企画したいと思うに至りました。
 キムさんは幼少よりヘグムに興味を持ち、芸術系の高校、大学でヘグムを専攻。二胡との出会いは大学在学時に北京の中央音楽学院へ留学してからで、当初は「ヘグムの演奏の参考になれば」といった程度だったそうですが、すっかり二胡に魅了され一年の留学予定が合計四年になり、その間に趙寒陽先生、田再励先生、宋飛先生等の指導を受けました。  韓国に帰国後はヘグム奏者として活躍。同時に、度々北京を訪れて二胡の短期研修を重ね、現在では韓国における二胡の第一人者として演奏活動はもとより、駐ソウル中国大使館で中国人子弟に二胡を指導するなど、広く活躍中です。
 そして去る5月には、9月のコンサートのプレイベントのために来日し、京都では杉原圭子様、東京では『二胡之友』のご協力でレクチャーコンサートを開催させて頂きました。
 今回は二胡学習者対象という前提で、日本ではまだまだ知る人の少ないヘグムについて、二胡の奏法との比較を交えながら実演とともに解説し、続いて二胡とヘグムのミニコンサートというプログラム構成でした。
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インタビュー キムジウンさんに訊く


 5月28日(木)夜、初訪日コンサートのプレイベントのために来日されたキムジウンさんのレクチャー&ミニコンサートが東京でも開かれました。その合間を縫って、キムジウンさんにインタビューをお願いしました。
 ヘグムは、宋代の『楽書』という本に掲載されている二胡の先祖と言われる “奚琴” の絵とそっくりで、 その当時のまま朝鮮半島に伝わったと思われます。ヘグムと二胡は演奏方法も音色も違いますが、それはそれぞれの民族の好みによって変化していったと考えると、非常に興味深いものがあります。
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“清音水韵” 上海を往く
〜弾いて、歌って、踊って!? 涙と笑いの交流ツアー〜


【寄稿】“清音水韵”メンバー 和田幸子


 第4回中国音楽フェスティバル(2015年4月25日)への出場を機に結成された“清音水韵”(代表者:清水久恵。「美しい音楽が山水に溶け込み一つになる」という意味の、この団体名は、王永徳老師により命名された)。感激の初舞台から僅か1か月後、今度は、中国で交流演奏、海外デビュー(?)を果たす事になろうとは!
 元々は、「二胡を持って、上海音楽学院へ行こう!」という、ゆる〜いタイトルの研修旅行だったのが、日が近づくにつれ、活動内容がどんどんグレードアップ。最終的に、参加者15名ではもったいないと思うほどの、立派な交流事業になったのだった。 (続きは本誌をご覧下さい)