前回とその前、二回にわたって劉天華の「良宵」を取り上げました。「良宵」については、まだまだ書き尽くしていない感がありますが、あまりに詳しすぎて、マニアックなドツボにはまっても、おおかたのニーズからは乖離してしまいますので、ほどほどにして、次の曲、劉天華の「閑居吟」に進みましょう。
「閑居吟」は、「良宵」の翌年、1928年の作で、この二曲とも、穏やかで明るい雰囲気をもっています。これは劉天華の当時の生活状況や精神状態が反映していると言われています。人気のある「良宵」に比べ「閑居吟」はあまり知られていないかもしれませんが、全体に技術的にも表現の上でも難しすぎず、一般の愛好家が弾いても十分に二胡の楽しみを味わえる曲だと思います。なお、今回も主に参照している楽譜は、上海海文音像出版社の「二胡名曲系列(1) 劉天華十大名曲・外国名曲二首」(2005年5月第一刷版)です。
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