(勝手に)ランキングNo.1の北京ダック! 中国北京の名物といえば、北京ダック!北京ではいたるところにある北京ダック屋さんですが、その値段は場所によってマチマチ。我ら中央音楽学院の裏門にも1軒ある卓越[火考]鴨店(ジュオユエカオヤーディエン)は学生にお手頃なお値段で半羽でなんと40元(日本円で約500円)で食べられるのだ!
そしてもちろん一番有名な全聚コ(チュアンジュイダー)から皇宮[火考]鴨店、大董[火考]鴨店、大鴨梨[火考]鴨店などなど、北京生活の4年間で食べたダック屋さんは、何軒だろうか…。どうしてそんなにダックばかりをって? それはもちろん本場北京でしか味わえない、安くて美味しいダックが食べられるからです!!! といっても実際は…、みな練習ばかりでご飯と買い物だけが楽しみだったりする…。
ということでそんなに食べたダック屋の中から勝手にランキングNo.1としてご紹介したいのは、利群[火考]鴨店(リーチュインカオヤーディエン)!
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このダック屋、『崇文区前門東大街北翔風胡同11号』という住所なのですが、この住所だけでは到底辿り着けない。なぜかというと明代から続く庶民の住宅街、胡同(フートン)の中にある一軒であり、また特にこのダック屋があるフートンは取り壊された家も多く、壁にある誰かが書いたダックの標識をつたってやっと辿り着けるのである。私も友人に連れられてやっとこ辿り着けた。中に入ると、古ーい家を改築したアットホームな感じのレストランで、入口の壁には店長と各国の大使との写真や世界的に有名な映画俳優、歌手など様々なジャンルの方々との写真が数多く飾られている。
そして肝心なダックだが、まずはなんと言っても皮が他の店と違う! 薄くて透明感のあるここの皮は、他にないモチモチした食感がなんとも美味しい! そしてダックにつけるタレ。甘すぎず独特のタレを、目の前でさばいてくれる焼きたてのダックと一緒に頬張れば! う〜ん、美味しすぎですぅ〜♪
ただし、お食事時間は制限時間2時間のみ! 価格は1羽198元(約2500円)と、学校裏の店の5倍ですが、味見の価値は十分あるお店です。唯一の不満点は、大学2年生の時は1羽98元だったのが、今は倍になっていること…。
二胡Lesson♪
本科生が各自専攻する楽器のレッスンは主課と呼ばれ、週に1回担当の先生とマンツーマンで行われることになっている。1週間の成果が発揮され、そして次の1週間がどう過ごせるのかを決める大事な1日。おおげさに聞こえるかも知れないが、主課の前夜から寝付けない留学生もいて、主課が終わって帰ってくるとホッと一息。かく言う私もかなり本番には弱いタイプで、レッスンに行く時からドキドキ。そして普段の練習の半分も実力を出せずに、落ち込んで帰ってくるのがほとんどだった…。
私にレッスンをして下さったのは二胡界でも有名なL先生。緊張した雰囲気の中、最初のレッスンがスタートした。
先生:「今までに習った曲の中でどれでもいいから、弾いてみなさい」
私:「はい、わかりました」
(一曲弾き終わる)
先生:「う〜ん、君は右手首の動きが柔らかすぎるね、そのクセを直さないと進歩はできないよ」
私:「えっ、そうなんですか? ではどうしたら?」
そう、最初のレッスンは私のクセ直しから始まった。同じ二胡だが上海などの南方と北京では手の使い方が少し違うのだ。手首をよく使って奏でる南方の弓使いに比べ、北京ではそんなに手首を使わない。そして使用している弓さえ、南と北では違うのだ!
結局、その日のレッスンは先生の教材を購入し、そこから6曲ほどドッサリ練習曲をもらい、その1週間は手首を気にしながらの開放弦(左手の弦を押さない、右手のみの練習)の練習にドップリつかった。そして練習曲は本当に基礎の基礎の曲で、内心『また一からだ…』と不安な気持ちになった。
でも、やるしかなかった。毎日練習を重ねて、まぁ大丈夫だろうと1週間後、再び先生のもとへレッスンに向かった。
先生:「じゃ、練習曲から」
私:「はい」
しかし、その日は私にとって忘れることのできない日になったのだった。
平野 優紀(ヒラノ ユキ)/ 芸名 オウセイ
中国生まれ、日本育ちの二胡奏者。江南絲竹の名門の出である母の影響のもと、幼少より中国音楽に親しむ。2006年中国政府奨学金生(全額免除)として中央音楽学院に留学。2010年卒業し、本格的に活動を開始する。同年11月紀尾井ホールにてリサイタルを行い、ファーストアルバム「花韻」を発売。現在、二胡の講師として教える傍ら、様々なコラボレーションを通じて、日中の架け橋になりたいと願っている若手二胡奏者の一人である。