マラソンのレースに臨む際、優れたランナーは、あらかじめコースをよく調べ、頭に叩き込んでからスタートラインに立つでしょう。スタート後は、自分が今、コースのどの辺りにいて、先はどのようになっているかを把握しなければ、冷静なペース配分やレース展開をして行くことができません。これは、一旦始めたら最後まで止まる事のできない、音楽の演奏と似ているように思います。「レースで走る」を「コンサートで演奏する」に入れ替えれば、コンサートに臨む際は、曲を熟知する事が必要ですし、本番で一旦音を出したら、その後は、集中しながらも、今どこを弾いていて、あとどれだけで次の部分に入るか、といった曲の構成を頭の片隅で意識していないと…、無我夢中のまま突進して、最後までたどり着いたのが奇跡的! なんてことになりがちです。勿論、短い曲はそこまで意識する必要はないのですが、ある程度のまとまりをもった楽曲を弾く場合は、その構成を整理して頭に刻む、という習慣をつけたいものです。そしてこれは、私が楽曲の、とりわけ構成面での分析(アナリーゼ)が有意義であると考える理由の一つです。
という訳で、コンサートできちんとゴールインできるように、「閑居吟」のアナリーゼを続けましょう。今回も、楽譜は上海海文音像出版社の「二胡名曲系列(1)劉天華十大名曲・外国名曲二首」
(2005年5月第一刷版)を主に参照しています。
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