はじめに

 創刊号から本稿をお読みになっている方は、「良宵」(5、6月号)「閑居吟」(7、8、9月号)「空山鳥語」(9、10月号)と3曲も劉天華の作品を続けて取り上げましたから、「もうそろそろ、ほかの作品にしたら?」とお思いの方もいらっしゃると思います。私も、実はちょっと気分を変えたくなっていたのですが、ここのところ、コンサート(特にアンコール)や発表会で、劉天華の「光明行」が取り上げられる頻度が高いようなので、(これは、東日本大震災で被災した日本を励まそう、という中国人演奏家からのエールなのでしょう)やはり今、この曲を取り上げておくべき、と考え直しました。なお、この曲は、繰り返しを含め全200小節とヴォリュームがあるため、楽譜は要所をかいつまんで掲載します。楽譜をお持ちの方は、そちらを参照しながらお読み下さい(小節番号を記入すると、より分かりやすくなります)。分析にあたり、主に参照している楽譜は、上海海文音像出版社の「二胡名曲系列(1)劉天華十大名曲・外国名曲二首」(2005年5月第一刷版)ですが、この本に掲載されている陸華柏版のピアノ伴奏譜についても随時触れて行きたいと思います。

本文内容項目

  • 楽譜を読む前に
  • 全曲の構成/行進曲の形
  • 前奏/スタッカート奏法

続きは本誌をご覧下さい。

人民音楽出版社「劉天華全集」