二胡は、今や日本人にとって最も馴染みの深い中国民族楽器となり、学習者は飛躍的に増加し、着実に新たな音楽を生み出しています。その一方、系統的、規範的な教育の機会の不足や遅れが解決すべき課題となっていました。
 中国では主要音楽大学や音楽関係の学会等が主催する「考級(グレードテスト)」がいくつかあり、それぞれ年2回ほど開かれています。外国人でも受験可能ですから、以前は日本から中国に検定を受けに行くことも多かったようです。因に、中国の「考級」は基本的に業余(アマチュア)が対象になっています。もちろんプロが受けてもよいのですが、中国の音楽大学は付属小学校からプロ養成機関として扱われ、小学生でも系統的に厳しい訓練を受けて将来はプロの演奏家や教育者になることが前提になっているので、検定を受ける必要はないと言えます。検定の課題曲を集めた曲集は何種類か編まれていますが、それを見るとアマチュア用と言っても、課題曲はかなりハードルの高いものばかりです。
 ひるがえって日本でも、学習者のレベルアップの指針となる検定の必要性が認識されて、数年前から少しずつ検定試験が行われるようになりました。まだまだ少ないのですが、編集部で把握しているものに、2006年に日本で初めて検定を実施し、今年四回目を迎える日本二胡学会の二胡検定、2007年よりNPO日本二胡振興会が中国民族管弦楽学会と共催で実施した全国二胡検定、2011年4月に福岡と熊本で行われた劉福君二胡教室と上海音楽学院共催の第一回日本二胡検定があります。
 その中で、今年は日本二胡学会の二胡検定が行われるとのことで、その目的・意義も含め、編集子から主催者に質問し、それに答えていただくQ&Aの方式でレポートします。この記事がこれからチャレンジする方の参考になれば幸いです。