この連載は、二胡演奏家賈鵬芳氏が2005年２月から７月まで、６回にわたって開講した日本人のための二胡講師養成講座を再構成してお届けするものです。 　2005年当時はまだ日本人で教えている人はそれほど多くはなく、日本に二胡を根付かせるためには日本人の指導者を育てなければならない、という賈氏の考えによってこの講座は開講されました。しかし、この数年で日本各地における二胡人口はかなりの数に上り、日本人の指導者、演奏家も増え、現在は「日本の二胡」が形成される道に入りつつあります。この情勢に鑑みて、『二胡之友』では、演奏面だけではなく、歴史や中国音楽、楽器、楽譜等、指導者に必要と思われる広範な内容を含む講義録を元に、賈鵬芳氏の改訂を経て再構成したものを掲載させていただくことにしました。 　第1回は、講師養成講座に参加した、すでに教えている人、指導者を目指す人、指導者にならなくとも中国音楽や二胡に関する知識をもっと得たい、という人々の、この講座に参加した理由とそれに対する賈氏のコメントを整理して掲載します。

賈鵬芳プロフィール

８歳から二胡を始め、1978年中央民族楽団に入団、10年間ソリストを務めた後、88年来日。以後、二胡らしさを保ちつつ多ジャンルの音楽を吸収消化して、独自の風格を築き上げるとともに、日本における二胡の普及、世界で認められる二胡音楽の形成に多大な貢献をした。日本各地に分校のある「天華二胡学院」を主宰。多忙な中、自らも教えている。近年、北京・上海で開催したリサイタルは大好評を博し、中国の人々にも賈鵬芳の二胡の新しい世界が認められることとなった。12年、中国で出版されたアルバム「一抹天香」を日中同時発売。この春からBS11の音楽番組の司会を担当。東京芸術大学修士課程修了。日本二胡学会副会長。
　 　　　

　第二年度を迎えた『二胡之友』の新企画として、現在日本で活躍中の中国出身の音楽家の皆さんに、３ヶ月毎にバトンタッチするリレー方式でエッセイを執筆していただきます。共通テーマは「愛する日本の二胡〜私の二胡人生〜」。但し、執筆者の中には二胡奏者、指導者の枠を越えた方も登場するかもしれません。その場合はまた別の視点から、自由に綴っていただくこととして、先ずはトップランナーのウェイウェイ・ウーさん、宜しくお願い致します。

ウェイウェイ・ウープロフィール

中国／上海生まれ。二胡を通じて様々なジャンルのミュージシャンとコラボレーションを精力的に行い、二胡のスタンディング奏法の考案など、独自の演奏スタイルを確立。ロック、ジャズ、フュージョンなどと共演する現代二胡のパイオニア的存在。NHK「ダーウィンが来た」でケニーＧとテーマ曲を担当し、ＴＢＳドラマ「JIN-仁-」のメインテーマで二胡を演奏するなど、幅広く活躍している、スタイリッシュな二胡プレーヤー。
　 　　　

　前々回と前回で黄海懐の「賽馬」を取り上げました。引き続き、同じ作者の作品「江河水」を今回から２回にわたり取り上げます。なお、この曲も「賽馬」と同じようにオリジナル版と中間部が縮小された版があります。楽譜は、オリジナル版は主に上海音楽出版社刊『二胡曲集合訂本　第六集至第十集』(1997年)を、縮小版は上海音楽出版社刊／龍音編輯委員会編『二胡考級２　名家演奏与指導』（2011年）を参照しています。

• 「賽馬」こぼれ話
• 楽譜を読む前に
• 全体を俯瞰する
• オリジナル版と縮小版の比較


• 序奏＝引子

　　　

　前号の「琴筒（音筒）と音窓」は如何でしたか？　限られた誌面に多くの内容を盛り込んだため、写真を入れる余裕がありませんでしたが、今回は琴筒の写真をまとめてみました。前号の記事と併せてご覧下さい。

　上海の留学期間は一年間だった。慣れてきたと思ったら、あっという間に終わりとなった。物足りなさを心に残したまま2005年、私は日本に帰国した。 　同じく二胡留学をしていた台湾からの留学生の情報により、中国政府奨学金というのがあると聞いた。 　ナント　試験を通れば留学費用全額が支給されるというのだった。さっそく申請を試みた。膨大な資料集めが始まった。希望大学記入欄に第三希望までの欄があった。 …（続きは本誌をご覧下さい）

　昨年7月号から始まった「二胡の壷」の連載もそろそろ最終コーナーに差し掛かろうとしています。あと２回、即ち全13回という、如何にも私らしい中途半端さで最終回を迎える予定となりましたが、今回は第1回のテーマ、音そのものの話題に立ち戻り、音の形という観点から考えてみたいと思います。

• 圧力と速度
• 音の形
• 子音と母音
• ビブラートは魔法の鍵？
• インプットとアウトプット、そして審美耳

　皆さん、こんにちは。前号はいきなり難易度の高い木部の修理方法について触れさせていただきましたが、木部の割れをご自分で修理できるようになれば、正に"メンテの神様"の領域に足を踏み入れたと言っても過言ではありません。さて、今回もやや難しくはありますが、ご自宅でもメンテナンスが可能な、デンペン（テンペンとも）の修理対応についてお話させていただきます。
マックコーポレーション株式会社　白井琢郎 　　　

　いよいよ私も先生が決まり、みんなの仲間入り♪こちらでは「あなた、どの先生についてるの？」という初対面の生徒の間でよく交わされる質問（というよりいわば挨拶のようなもの）があるのですが、以前は答えられなかった私もようやく「馬向華先生だよ(^u^)♪」と答えられるようになりました。しかし、そう答えた後の相手の表情が、みんな揃って険しくなるのです。。。 … （続きは本誌をご覧下さい）

　現在上海には多くの日本人が生活を送っています。その方々が趣味や仕事として様々な音楽を楽しんでおられます。例えば趣味のサークルでは、和太鼓・能狂言・男声合唱・ゴスペル・ブラスバンド・南米音楽・エイサー・三線・相撲甚句・日本人中国民族楽団・駐在員バンド・弦楽アンサンブルなど、大変充実しています。その他日本人による津軽三味線やピアノ・バイオリンなどの音楽教室、日本人バンドが活躍するジャズクラブやカフェといった場所もあります。 …（続きは本誌をご覧下さい）

「Ｎｉｋｏｐｅｄｉａ」は、二胡にまつわる雑学や動向などを随想形式でお届けしています。話はあちこちに飛びますので、気軽に読んでください。今回のテーマは「学習」と「歌姫」です。

• "学ぶ"と言うこと
• "帽子の歌姫"台湾の鳳飛飛さん逝く
• 「胡琴」の響きは異国情緒
• その他の「胡」について
• 民族興亡のＤＮＡ